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Kenko 125cの光軸調整をする [天体望遠鏡]

Kenko 125cをYオクで落札しました。情報が少ないのですが、接眼バッフル内に補正レンズを入れた、焦点距離1000㎜、F8のカセグレイン望遠鏡のようです。接眼レンズ3個(K20,K12.5,SR6)、天頂プリズム、KDS経緯台、三脚がついており、程度は良好、11.5Kでした。
一見光軸はあっているようなので、木星を覗いてみました。縞模様が見えますが、細部のうねりは見ることができず、像が甘く、締まりがない感じです。ミラーも汚れているので、分解、洗浄、再組立て、調整をすることにしました。
まず分解です。主鏡は裏面から3か所の薄い金属板の弾力で保持されており、ミラーセル、バッフルはしっかりした作りです。
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副鏡は大きく、堅固なバッフルに収まっています。カセグレイン式にしては合成Fが短いので、副鏡サイズが大きくなったものと思います。
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中性洗剤(メガネのシャンプー)で洗浄し、ブロアーで水滴を吹き飛ばします。洗浄で鏡面はきれいになりました。補正レンズ(3群3枚のようです)も若干曇っていたので、表面だけ清掃しました。
さて再度組み立てて光軸調整です。まず、副鏡が中央に位置しなければならないので、コンパスを使って、鏡筒内面から副鏡支持金具中央のねじまでの長さを均等になるように調整しました。鏡筒が真円であると仮定していますが、鏡筒先端の補強金具、主鏡セル取り付け部が十分に円に近いと思われますので、おそらくは大丈夫です。
Chesire型(十字線入りしか手元になかったのでこれを使いました)の光軸修正アイピースを使って、主鏡バッフルの先端円と副鏡の輪郭円が同心に見えるように、3本の押しネジ、3本の引きネジで調整しました。どの円が何に相当するのかを把握するのに若干苦労しますが、ずらして確認することを繰り返せば、それほどの困難はありません。
主鏡の傾きを調整した後は、副鏡の調整です。副鏡の中に映り込んでいる、いくつもの円を同心円になるように調整し、光軸修正アイピース本体の十字線の交点と、副鏡に映っている十字線の交点が重なっていることを確認しました。
このあと、実際の星像で副鏡の傾きを微調整します。シーイングのよい日がなかなかやってこなかったので、数日が経過しました。
ここで、ふと、長いこと玄関先の置物になっていた16インチドブソニアンと一緒にHubble Opticsから5star 人工星ライトを購入していたことを思い出しました。あまりに大きなドブソニアンに紛れてどこかに行ってしまいかねない小物でしたが、あることを思い出しました。使うのは今しかないでしょうということで、探し出して使ってみることにしました。取扱説明書はなにもなく、Amazonの商品説明だけの情報しかありません。外見はチープな100均にあるようなLEDライトです。このライトの価値は、五つの穴をあけた金属板がそのほとんどを占めるようです。
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10m以上の距離をあけて使用するようでが、我が家の廊下は約12mあり、使用可能でした。
望遠鏡本体をカスタム経緯台に固定し、12m先のライトのスイッチをつけてみると、はじめはピントがどこにあるのかわからず、何も見えません。家の中にあるだけの延長チューブを持ってきて前後させて、ご覧のような状態でピントが合いました。
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Or7mmで、焦点内像と焦点外像のドーナツ型、ジフラクションリングの偏った焦点像が円形に見られました。明るさの違う五つの人工星が見えますが、一番暗い人工星が今回の条件にはあっているようでした。付属のプラスチック小片はマグネットで、人工星の金属板にくっつけて不要な星像を隠すもののようです。副鏡の傾きを調整してドーナツの幅が均等になるように、焦点像のジフラクションリングが同心円になるように調整しましたが、シーイングの影響のない室内作業なので、とても楽にできました。光軸を調整すると人工星の位置がずれるので微動装置があったほうが効率よく作業できます。
結論から言うとこの人工星は使えます。なによりも、せっかくのよいシーイングの日を光軸修正に使わなくて済むのが大きいです。自作も可能だと思いますが、人工星の穴が正円でないと星像がゆがむので、けっこう作るのは大変かもしれません。このへんが、販売価格25ドルの価値なのだと思います。
付属の接眼鏡、K20とK12.5は、見かけはチープですが星像は良好で、視野も50°くらいあり使えます。SR6mmも、視野はとても狭い(モノセントリック6mmより少しだけ広い)ですが、星像は良好でこれも使えます。しかし、付属の天頂プリズムは不可でした。せっかく光軸を合わせたのに天頂プリズムを使うと、光軸がずれてしまい、星像にもアスが出て、明らかに悪化しました。ミザールカイザー型付属の天頂プリズムはレトロなコーティングなしですが、星像の悪化が少なく、こちらを使うことにしました。
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この鏡筒の欠点は、アメリカンサイズの接眼鏡では、焦点引き出し量が足らずに、天頂ミラーを使えないことです。ということでレトロな24.5mmサイズのK25(アストロ製)、Or7(ミザール)、Or5(ビクセン)を追加してラインアップが完成しました。
光軸調整後の見え方ですが、ビクセンED10cm屈折と比較して木星を眺めてみました。ややコントラストは悪いもののOr5mmでもピントの芯がしっかりあって、それなりに細かい模様も見えました。何よりも軽量で取り回しがらくで、KES赤道儀とのマッチングがよく、収まるところに収まった感じです。
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シーイングのよい夜には、円形のエアリーディスクとジフラクションリングがきれいに見えます。調整しがいのある鏡筒です。

EasyDriverをつかってMMD-QZを修理する [ミザールMMD-QZ]

修理して使用していたMMD QZのL6470基板が焼損してしまい、使用できなくなりました。電源のDCワークから異常な電流が流れたのでしょうか。
そこで、ステッピングモーターを、48ステップ/回転の安価なステッピングモーター(900円、写真右)に交換しようと思いましたが、トルク不足で赤道儀を運転できず、結局オリジナルの24ステップのモーター(写真左)を使うことになりました。
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新しい葡萄酒は新しい革袋に入れたいところですが、仕方がありません。このオリジナルモーターを、Easy driver(中国製ジェネリック品2ドル少々)とArduino Uno(中国製同等品)で制御することにしました。総額1000円以内の投資です。
Easy driverは、Onstepでも使用できるドライバーですが、ステップと回転方向のシンプルな制御方式で、デフォルトでは、1/8マイクロステップになっています。ステップ数の計算がしやすく、たいていのステッピングモーターは回せるという優れものです。MMD QZオリジナルモーターも、何の調整もなくパラメターの設定もなく回すことができました。
これは、Easy Driverの使い方ページにあるExample.1スケッチで、簡単に定速運転ができます。
void setup() {
pinMode(8, OUTPUT);
pinMode(9, OUTPUT);
digitalWrite(8, LOW);
digitalWrite(9, LOW);
}

void loop() {
digitalWrite(9, HIGH);
delay(任意);
digitalWrite(9, LOW);
delay(任意); //任意の数字が1とすると、STEP signalが1となり 1ms high and 1ms low, ということで2ms で一つのパルスができます。 すると1000/2 = 500 microsteps/secondということになります。
}
というわずか12行のスケッチです。
8ピンのlow-highで回転方向を制御し、9ピンのhigh-lowで回転数を制御します。
ポータブル赤道儀ならこれで済みそうですが、MMD QZの修理なので、3個のスイッチを設定し、スイッチオンで3倍の増速もしくは反転をするようにスケッチを描きました。停止はenable端子を利用しました。配線は、Example 1.6を参考にしました。
Easy driverのイージーなところはもう一つあって、Arduinoへの電源をEasy driverから供給できるので、電源周りがすっきりすることです。
今一つ信用できないポータブル電源から異常な電流が流れる可能性を考え、3.3オームの抵抗と4Aのヒューズを入れて、対策としました。
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1/500の減速ギアがついたMMD QZでは高速回転はトルク不足で難しいので、スリップクラッチもあるし、3倍速が妥当なところかなと思っています。実際のスケッチは以下の通りです。
void setup() {
pinMode(8, OUTPUT);
pinMode(9, OUTPUT);
digitalWrite(8, LOW);
digitalWrite(9, LOW);

pinMode(2, INPUT);
pinMode(3, INPUT);
}


void loop(){

int a; int b;

digitalWrite(9, HIGH);//恒星時運転
delayMicroseconds(1250);
digitalWrite(9, LOW);
delayMicroseconds(1250);

while (digitalRead(2) == LOW) { //2番ピンとつながってるスイッチがonになったら下記を実行 (3倍速)

digitalWrite(8, HIGH);

digitalWrite(9, HIGH);
delayMicroseconds(400);
digitalWrite(9, LOW);
delayMicroseconds(400);
int a=1;}

while (digitalRead(3) == LOW) { //3番ピンとつながってるスイッチがonになったら下記を実行 (-3倍速)


digitalWrite(8,LOW );

digitalWrite(9, HIGH);
delayMicroseconds(400);
digitalWrite(9, LOW);
delayMicroseconds(400);

int b=1;}
}

DSCN4242_R.JPG
ケンコーKES赤道儀に取り付けてみましたが、快調に動いています。反転3倍速後、恒星時駆動の方向が逆になってしまいます。おそらくreturn;などの一行が不足しているのだと思いますが、早送り3倍速のボタンを一瞬押せば復帰するのでそのまま使用しています。